洋菓子シリーズ全体の核になるのは、「BISCUITS(ビスキュイ)」の缶にあるブルーと赤のストライプです。メタリックの缶に使用するには、線が細いと見えなくなるので、ある程度線を太くしています。これまでは単色のメタリックだった缶をはじめ、多くの商品にストライプを施しました。

シリーズにはビスケット、ケーキ、チョコレートなど、豊富な種類があります。一目見て中身を連想できるよう、商品1つひとつのパッケージにも工夫を凝らしました。たとえば、チーズケーキにはチーズから連想できる「牛」を描いています。

無意識に手に取ってもらえるようなものより、強く主張したものを作りたい。これが僕のやり方です。最初にデザインを手がけた当時は、お菓子を食べ終わった後の空き缶に小物などを入れて再活用する時代でした。だから、汎用性の高いデザインにせざるをえない部分があった。でも、時代は変わりました。それに僕はもう82歳。資生堂には名誉会長の福原義春さんを除いて、僕より年上の人はいないんじゃないかなあ。そういうこともあって、私の考えも大いに取り入れてもらいました。

ちなみにコンセプトにわざわざ「銀座」と掲げているのは、銀座の街にレトロでありながら新しい魅力があるから。僕の中で銀座らしさみたいなものは、生涯のテーマなんです。

114年間愛され、25年ぶりに一新

1902年以来、東京・銀座の地で114年間愛され続ける資生堂パーラー。洋菓子は昭和初期発売の「花椿ビスケット」からはじまる。1990年に仲條氏がデザインしたブルーのパッケージから25年の時を経て、未来に向けてお菓子の味わいからパッケージ、包装資材のデザインまで全面リニューアルを果たす。リニューアル後のデザインはJAGDA賞2016をパッケージ部門にて受賞。

 
仲條正義(デザイナー)
1933年、東京都生まれ。56年東京芸術大学美術学部図案科卒業。資生堂宣伝部を経て、61年仲條デザイン事務所設立。66年から40年以上にわたり、資生堂企業文化誌「花椿」のアートディレクションを務める。その他代表作に、松屋銀座、東京都現代美術館のCI計画など。
(構成=矢倉比呂 撮影=佐藤新也)
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