ここに、興味深いデータがある。新卒紹介サービス事業を手掛けるINNOBASEが大手・優良企業に調査した、17年卒の新卒採用スケジュールだ。これを見ると、マスコミやメーカー、IT業界や商社など、実に多くの業界が“フライング”を予定していることがわかる。学生目線で見ても、過去の就活情報が役に立たないという点で、昨年と状況は変わらない。新しい日程も、学生や企業の希望に沿ったものではないと言えるだろう。「15年卒採用のスケジュールに戻してほしい」というのが、双方の総意ではないだろうか。
もう1つ就活の穴を指摘するなら、「インターンシップ」もあまりうまく機能していない。私は仕事柄いろいろな業界の人事担当者と話をするが、「インターンはCSRの一環で実施しているだけ」という声も聞く。そんな扱いをされてしまうのは、インターンと採用がうまく結びついていないからにほかならない。私のゼミでも、過去にはある企業のインターンに学生を参加させていた。しかしある年、先方に“お断り”されてしまった。聞いてみると、インターンに参加した学生が、1人もその企業に入社していないことが原因だという。一方の学生たちはこう答えた。「ある程度働いてみて、大体どんなものかわかった」。だから、別の業界に就職すると言うのである。つまり、学生はインターンを単なる「就業体験」「社会見学」として捉えており、優秀な学生を青田買いしたい企業の思惑とは大きく外れているのだ。