当事者不在のスケジュール議論に不満続出
──ここ数年、新卒採用のスケジュールは迷走を続けている。2015年卒までの新卒採用は、学部3年生の12月に情報解禁、選考開始は4月だった。ところが「選考期間のピークが4~6月になることで、学業への支障が生じる」「就職活動が長期化すると、海外留学の機会が失われる」などの理由から、政府が経済界にスケジュールの見直しを要請。16年卒の新卒採用は、4カ月後倒しになり、3年生3月に情報解禁、選考開始は4年生の8月となった。
しかし、学生・企業の双方から批判が相次ぎ、新卒採用スケジュールは再び変更される。日程の迷走に振り回される学生と企業。そのような状況下で、企業はどうすれば優秀な人材を確保できるのか。経営学者として数多くの学生と企業を見てきた高橋伸夫教授に話を聞いた。
スケジュール変更が生んだ混乱のために、かえって学業に支障が出たという学生は大勢いる。私の大学の学生も「あっという間に就活が終わってしまった」「どこからが採用試験だったのかわからない」などと口々に不満を述べていた。企業側も「いい人材が採用できないのではないか」という不安を感じたようで、結果的に“フライング”企業が続出した。そして、わずか1年で方針転換。17年卒の新卒採用は、3年生の3月に情報解禁、選考開始は6月からと、2カ月前倒しされることになった。