さらに、信実さんが「国公立大学と、一般入試の私立大学を併願すると、センター試験対策、従来型の受験英語、技能統合の問題などさまざまな対策が必要で受験生にとっては負担でしょう」と一言。確かにその通りで、同情するほかない。
しかし、私大も受験英語の改革に拱手しているわけではなく、外部試験の活用の動きが出ている。特に注目されているのが、日本英語検定協会が開発した「TEAP」で、「読む」「聞く」「書く」「話す」の4つの技能のすべてを測定できる。
今年度から上智大学は、国際教養学部を除く全学部でTEAPを利用した一般入試を開始。全入学定員の約1割に当たる384人を募集したところ、志願者数は9106人に達した。学部・学科別に設定したスコアを満たしていることが出願条件で、実際の入試で英語の科目は免除される。
このほか、立教大学、関西大学、中央大学でも今年の一部の入試でTEAPを組み込んでいる。さらに、TEAPを利用した入試制度開発などを目的とした連絡協議会には全国56大学が参加しており、これから採用に弾みがつくだろう。
なぜなら、2014年12月に発表された中央教育審議会の答申で、20年度に計画されている大学入学希望者学力評価テスト(新テスト)への移行に伴い、英語に関する外部の資格・検定試験の活用が盛り込まれたから。実現すればTEAPに加え、TOEFLやベネッセコーポレーションが開発したGTECなどの活用も進みそうだ。
でも、外部の資格・検定試験には受験料がかかる。TEAPで4技能すべてのテストを受けると1万5000円。事前に対策用の教材で勉強したり、専門の学校に通うとなると、出費もばかにならない。大学の受験料だけでも頭が痛いわけで、受験生をもつお父さん方の小遣いの“デフレ脱却”の日はさらに遠のきそうだ。