時代が変われば、大学受験の試験問題の内容も変わる。ドメスティックな人生を歩んできた編集者が、実用的になったという最新事情を恐る恐る探ってみた。
内容理解だけでなく活用まで求める
当年とって53歳のオジサン編集者は、1979年に始まった「共通1次試験」の初期の世代。「鉛筆を転がして解答を選んでも、合格することがありえる」といったマークシート方式への批判もあったが、何を隠そう英語が不得意な私は「イザとなったらその手もあり」と決めていたくらいなのだ。
メディアの片隅で禄を食み始めていた90年、共通1次から「大学入試センター試験」への移行を耳にした。その後、ドメスティックな人生をひた走り、英語への関心は薄れる一方だったが、2006年度からセンター試験でリスニングが導入されたと知り、様変わりぶりに驚いたことをいまでも覚えている。
そんな自分が「最新の受験英語の事情を調べろ」といわれても、どう手をつけていいのかわからない。そこで門を叩いたのが、大手予備校の河合塾。教育研究開発本部本部長の信実秀則さんが、まず受験英語の大きな歴史的な流れについて次のように教えてくれた。
「いま大学受験を控える子どもをもつ40代から50代前半の親御さんだと、共通1次か初期のセンター試験の受験組だと思います。その頃の受験英語は、読解力と文法知識に関するものがメーンでした。しかし、それでは実践的な英語力は問えず、06年度からセンター試験にリスニングが導入されたのです。筆記では長文読解問題に加え、図やグラフを読みこなしたうえで答えさせる、実用英語に近い問題が出題されるようになっています」
今年のセンター試験では、豪州で親、学生、教師に行われた、ソーシャル・ネットワーキング・システムの利用に対するリスクの意識調査のデータがグラフで示され、解説文を読んだうえで答える問題が課せられた。また、4つのキャンプ場の案内広告を読み、ある家族の希望を満たすキャンプ場がどこかを選択する問題まであった。