●自分の力の基盤から離れてみよう

あなたは自分が優位にいると思っているかもしれないが、力は見る側の見方によって決まる。この現実を受け入れるためには、力の基盤をなすものについての自分の概念を広げることが往々にして必要になる。財力は一般に最も明白な力の源泉だが、よい人間関係を保つことや専門家とみなされること、それに双方に利益になる解決策を案出することも、力の基盤になる。これらのスキルの中心にあるのは、交渉相手の利益にプラスにであれ、マイナスにであれ影響を及ぼす能力だ。力は多面的であることに相手が気づいていたら(そしてあなたが気づいていなければ)影響を及ぼし合うゲームで相手が勝つことになろう。

●相手より多く準備しよう

強いゴリアテをさほど強くないダビデが打ち倒した話は、毎日ニュースに登場する。あなたが明日のゴリアテにならないためには、自分が相手の立場にいたら行うはずの徹底的な準備と分析を行うことによって、弱い側の有利な点を突き止め、理解するよう努めるべきだ。成功は間違いないなどとけっして決め込んではならない。

●データに自ら語らせよう

あなたが相対的に強い立場にいるネゴシエーターだとすると、最もしてはならない行動は強引に結果を引き出そうとすることだ。「そちらにどんな選択肢があるというのか」などと脅しをかけることや、「誰にとってもこれが最善の道だ」などと言いくるめようとすることは、あなたに対抗するために団結する動きをあおり、報復を促すだけだ。それよりも、データに自ら語らせよう。特定の解決策がよいことを示す客観的かつ論理的な根拠――相対的に弱い立場の相手にとってはるかに受け入れやすい根拠を提示するのである。

●「中立」のメンバーを見つけよう

あなたがどれほど公平であろうとしても、交渉ではあなたの持つ力があなたに不利に働いて、疑念や怒りを招くことがある。交渉の関係者もしくは部外者のなかから、あなたの利益と連動する利益を持つ中立のメンバーを見つけて、そのメンバーに提案中の解決策がなぜお勧めなのかを説明する機会を与えてみよう。すべての当事者から道理がわかっていて公平とみなされているメンバーは、最も効果的なメッセンジャーになるはずであり、あなたの主張が受け入れられる公算を大幅に高めてくれる。

(翻訳=ディプロマット)