実は多くのビジネスパーソンも同じ間違いを犯しがちで、もとの貯金額がAさん100万円、Bさん10円だったらどうか。そう、「○倍」の前提が違えば、評価も変わるということだ。つまり、どちらが「よい」「悪い」を評価するには「前提条件」が必要なのだ。
改めて営業1課と2課を比べてみよう。1課と2課は違う戦略を取ったために前提条件が揃っていない。つまり、単純な額面での比較では誤った評価をする可能性があると考えられる。
2課の14年度は、前年度よりも製品価格が1.6倍になっている。そこで少し深掘りして考え、価格上昇の力も加味してみる。すると「1課:1億円→1.5億円」なのに対し、価格上昇を除去して「2課:1億円→(2億円÷1.6)=1.25億円」課の14年度は、前年度よりも製品価格が1.6倍になっている。そこで少し深掘りして考え、価格上昇の力も加味してみる。すると「1課:1億円→1.5億円」なのに対し、価格上昇を除去して「2課:1億円→(2億円÷1.6)=1.25億円」
このように数字は表面上のそれだけではなく、その背後も見ることが大切なのだ。今回の例では、営業1課の課長は表面上の数字ではなく、営業努力という新たな「土俵」で勝負することで、上司の評価を覆すことも可能になる。
上司の評価には必ず土俵があるが、それは絶対的なものではない。評価される側の課長は、ぜひ算数を使って土俵を変える努力をしてみてほしい。そうすれば上司の評価がよい方向に覆る可能性がある。いつも評価されない人は、いつも評価されない土俵で勝負していることに気づくことだ。
(構成=田之上 信)