人の心をつかむうえで必要なのは「話し方」だけではないし、「聞き方」だけでもない。大事なのは、心が通じ合う「受け答え」だ。
職場では頼むも受けるも気持ち良く
職場では上司・部下それぞれに役割と責任がある。上司は部下の能力を見極め、適切に仕事を割り振る。部下は振られた仕事に全力で当たる。上司が部下に仕事を命ずるのは当然、部下はその命に従うのが当然だ。
しかし、人は感情で動くもの。
「俺は上司なのだから、お前は従って当然」という態度で仕事を振れば、部下は渋々従ったとしても最低限のことしかしない。逆に「これができるのはお前しかいない。力を貸してくれ」と頼めば、部下は意気に感じて期待に応えようとするはずだ。
自分が部下で仕事を割り振られる立場だったらどうか。最終的に上司の命に従うのは同じでも「かしこまりました」と即答するのと、不満気な表情を浮かべああだこうだと言い訳を付けて渋々了承するのとでは、どちらが自分の株を上げ信頼を得るか。答えは言うまでもない。
「言い方ひとつ、答え方ひとつで、職場の空気も自分の評価も良くすることができるのです。立場や役割を踏まえたうえで、どうしたらお互いもっと気持ち良く仕事ができるか。そこを工夫するのがコミュニケーション能力です」(コミュニケーションスクール「とも子塾」主宰・元アナウンサー 今井登茂子さん)
ただし、必要以上に部下を持ち上げたり、上司にへりくだるのも良くない。やりすぎると相手が勘違いして、人間関係のバランスがおかしくなってしまう。
▼話しかけるのは横から、話を聞くのは正面から
会話のときは体の角度も気にしたい。例えばお願いごとがあるときは横から話しかける。真正面から向かっていくと相手を無意識に緊張させ、身構えさせてしまうからだ。逆に話しかけられたら、体ごと相手に向き直る。相手の話を真正面から受け止め、誠実に聞き入れる姿勢を示すことができる。
会話のときは体の角度も気にしたい。例えばお願いごとがあるときは横から話しかける。真正面から向かっていくと相手を無意識に緊張させ、身構えさせてしまうからだ。逆に話しかけられたら、体ごと相手に向き直る。相手の話を真正面から受け止め、誠実に聞き入れる姿勢を示すことができる。