そこで、ぜひお勧めしたい一流の応用テクニックが「一流接客は、語尾を『!』『。』ではなく『?』で終わらせる」(http://president.jp/articles/-/16636)で紹介した“クッション言葉”の活用である。「◯◯さま、きょうはお電話をいただきまして本当にありがとうございます。誠意を持って対応させていただきます。そこで一つ、お伺いしたいのですが……」と語りかけることで、正確な状況確認につなげていくようにするのだ。
お詫びに関して、社内で“たらい回し”にすることなどなく、すぐに対応することが何よりも重要なことは誰もが認めることだろう。しかし、その意識を全員で共有できていても、ほんの些細な一言で顧客の怒りを増幅させてしまう三流の応対が後を絶たないと嘆いているのが、“接客マエストロ”としてコンサルティングや研修で引っ張りだこの成田直人さんである。
「どんな一言かというと、『エッ!それは大変申し訳ありませんでした』というお詫びの『エッ!』なのです。つい発した言葉なのでしょうが、本人の潜在意識のなかには『なんだよ、こんなこともわからずに使っていたのか。だから壊れちゃうんだよ。厄介なお客さんだなぁ』といった思いが存在しているのです。お客さまは自分が小バカにされたことにはとても敏感で、その一言を見逃しません。なかには『いまの“エッ!”ってどういう意味なんだ!』と説明を求めてくる人もいるでしょう」
一度こうなってしまうと、顧客は応対した店員がどんな弁明をしようが、聞く耳を持たなくなる。後は上司が出てきて、部下の応対の拙さを含めて顧客のクレームを全面的に引き受けざるをえないのだ。初期消火の失敗によって発生した延焼の被害は取り返しがつかないくらい甚大だ。
そのほかに注意を払うべき一言に、「~と思います」「おそらく~」「たぶん~」もあるそうだ。たとえば「たぶん故障の原因はここにあります」といわれたら、「何だか曖昧な答えだなぁ」という気がしないだろうか。残りの2つの言葉を使った場合も同じような印象を受けるはずで、なかには「いいかげんな回答はいらない。はっきりとした原因を示せ」と怒り出す顧客が出てくるかもしれない。