「ひたむきなおっさん」見せます

そして、やはり一番大事なのは「試合のクオリティ(質)」の充実である。ラグビーならではの、からだのぶつかり合う迫力やスピード感を味わってもらう。スクラムやパスプレーの妙味を見てもらい、ラグビーの醍醐味を感じてもらうのである。

昨年度の日本選手権覇者のヤマハ発動機の清宮克幸監督は「W杯の試合は感動しました」と言った。

「トップリーグには新しい観客がきてくれると思います。その方々は、日本の南ア戦をベースにこられるだろう。だから、トップリーグの選手たちはあの(南ア戦の)レベルに近づく努力をして、お客さんに楽しいね、素晴らしいねと思われる試合をしないといけません。“ワールドカップ前後”という言葉ができるよう、がんばっていきたい」

TL3連覇を目指すパナソニックの堀江翔太キャプテンはこう、訴えた。

「テレビで(試合を)見るのもいいんですが、会場に足を運んで、ラグビーを肌で感じてもらいたい」

会見後の囲み取材で、「リピーターを増やすためには?」と聞かれると、日本代表フルバックの五郎丸は即答した。

「自分らが持っている力を、試合で100%出し続けることでしょう」

日本代表最年長の37歳、ロック大野均(東芝)はこうだ。

「我々がいいパフォーマンスを観客に見せるしかない。おっさんがひたむきに泥にまみれながら走っている、その姿を見てくれたらいいのかなと思います」

個性豊かな選手たちがからだを張るトップリーグは11月13日、スタートする。

松瀬 学(まつせ・まなぶ)●ノンフィクションライター。1960年、長崎県生まれ。早稲田大学ではラグビー部に所属。83年、同大卒業後、共同通信社に入社。運動部記者として、プロ野球、大相撲、オリンピックなどの取材を担当。96年から4年間はニューヨーク勤務。02年に同社退社後、ノンフィクション作家に。日本文藝家協会会員。著書に『汚れた金メダル』(文藝春秋)、『なぜ東京五輪招致は成功したのか?』(扶桑社新書)、『一流コーチのコトバ』(プレジデント社)など多数。2015年4月より、早稲田大学大学院修士課程に在学中。
(松瀬 学=撮影)
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