「副業が会社にバレる」は本当か
最近よく聞く「マイナンバーが始まれば副業が会社にバレる」という話も、鵜呑みにしないほうがいい。副業が会社にバレるのは、マイナンバーのせいではなく、本業と副業の給与から算出された住民税額が、自治体から勤務先に通知されるからだ。一般的に副業社員の住民税額は、同じ給料を支払っている他の社員より高くなる。それで勤務先は社員の副業に気づくわけだ。
以前は、それを回避する方法もあった。住民税を会社で天引きする「特別徴収」ではなく、自分で確定申告して「普通徴収」で納めれば、勤務先に内緒にできた。ところが近年、自治体によっては、給与収入については普通徴収を認めない方向にあるのだ。しかし、この流れは、マイナンバーと関係がない。きちんと納税している人にとって、マイナンバーがあってもなくてもリスクは同じなのだ。
もっとも、副業の収入を脱税していた人がマイナンバーによって税務署に捕捉され、その結果として住民税額を通じて会社にバレることはありうる。これは会社にバレる以前の問題で、そもそも脱税していたことが悪い。マイナンバーのせいにせず、適切に納税することが大切だ。
(図版作成=大橋昭一)