和歌山県産南高梅を使った本格梅酒をはじめ、みかん、緑茶、ゆず、いちごなどを使った35種もの「カクテル梅酒」で、売り上げを伸ばした和歌山県海南市の中野BCは、梅の持つ可能性に着目し、梅果汁を濃縮した「梅エキス」を商品化。生活習慣病や癌、インフルエンザにも効果的と注目を集めている。
梅エキスのムメフラールが血流を改善
梅が健康にいいことは、はるか昔から知られているが、梅干しを日常的に食べる家庭は減っている。和歌山県に本社を置く中野BCは、梅の可能性に着目し、その機能性などを研究機関と共同で研究し、梅エキスの商品化に成功し、ヒット商品に育て上げた。
その代表的商品が「梅真珠」(税込み3240円)だ。約1カ月分、155粒が入っているが、梅エキスと梅の果肉粉末を練り合わて粒状にしたもので、中野BCが独自の技術で作り上げたものだ。
種を取り除いた青梅を50分の1にまで濃縮した梅エキスには、梅干しにはない「ムメフラール」という成分が含まれている。このムメフラールは、血流を改善する効果が実証されている。そのため、血行障害である「冷え」の改善にも効果があるとされている。
すっぱみの元であるクエン酸を含む有機酸の含有量は梅エキスでレモンの約10倍(梅真珠は6倍)と豊富にある。クエン酸は疲労物質の乳酸を分解する作用もあり、疲労回復の効果がある。クエン酸は「キレート作用」というミネラルを身体に吸収しやすい形にする働きもあり、カルシウムの吸収率を高め、骨粗鬆症にも有効だ。
梅真珠は食物繊維がレタスの約20倍と整腸作用があり、便秘の改善にも役立つ。また、胃がんの原因であるピロリ菌の殺菌率が99.99%という驚きの効果も示している。さらに、中部大学と共同で、インフルエンザウイルスに対する作用を研究した結果、細胞に感染することを防ぐ予防効果と、感染したウイルスが体内から外に出ることを阻止する2つの効果を併せ持つことがわかった。
免疫細胞の活性化にも梅エキスの効果が認められており、近年、癌に対する効果も期待されている。中野BCでは2年半前から、京都大学名誉教授で肺がん治療の専門家である和田洋巳博士(からすま和田クリニック院長)の協力を得て、癌治療への活用を模索している。和田は食事療法に加えて梅エキスの摂取が癌の活動を抑えることに着目し、自身が監修した『がんに負けないこころとからだのつくりかた』という著書の中でも「梅真珠」にはウルソール酸が高濃度に含まれており、「このような製品を上手に利用していくことも有効な方法」と述べている。
実は、抗腫瘍作用があるとされるこのウルソール酸やオレアノール酸は、梅の果肉に多く含まれていることがわかり、粒状にするために練り込んだ果肉が結果的に効果をもたらしたと言える。