身につけることによって疲労回復を図ることができるかつてない「リカバリーウェア」を開発したベネクスは、世界に向けて日本発の「リカバリー産業」の輸出を目指している。プラチナなどの鉱物を練り込んだ繊維から発する電磁波が副交感神経に作用し、疲労回復や安眠に導くリカバリーウェアを開発した中村太一社長に聞く。

睡眠中に着るだけで安眠を得られる

40代になると、疲れが残る、寝つきが悪い、夜中に目が覚める、目覚め時に身体が重いなど疲労回復が遅くなってくる。回復を早める薬なども売られているが、効果を実感できないという人のために画期的なウェアが開発された。

その名も「リカバリーウェア」。開発したのはベンチャー企業のベネクスで、2年かけて世界初のこの商品を生み出し、2009年に販売を開始した。

睡眠中に身につけるだけで、血流を促進し、疲労物質や老廃物の排出を促し、冷えやむくみの改善し、深い眠りをもたらし、さわやかな目覚めを迎えることができるという。

ポロシャッツ、パンツ、タイツから腕や足、首回り専用、アイマスクまでラインナップし、2015年2月時点で25万着を売るヒット商品になっている。

中村太一・ベネクス社長。

ポロシャツタイプで1着1万5000円前後と安くはないが、ベネクスの調査ではユーザの95%が効果を実感している。

眠りが浅かった人が深く眠れて、夜中に目を覚まさなくなったなど、みなさんから評価を頂いています。最近は首回り専用のコンフォートがヒットし半年間で1万個を出荷しました。予想の倍のペースです。やはり首の痛みや肩こりに悩む人が多いのだと思います」とベネクス社長の中村太一(35歳)は語る。

ユーザのうち30%はアスリート系のスポーツ選手などで、日常的にハードなトレーニングや練習を行っている人たちが、リカバリーウェアを評価している。実際にこの商品がヒットする火付け役になったのも、格闘技やラグビーの選手たちで、その効果が口コミで広がりヒットにつながったのだ。

「身体能力のギリギリまで訓練している選手たちは翌日の疲れや筋肉の痛みをよくわかっているのですが、リカバリーウェアを着て寝ると、翌朝が楽で、前日はトレーニング不足だったかと思うほどだとみなさん、言いますね」

現在、百貨店のスポーツ売り場、スポーツ専門店など全国400店で取扱い、ネット通販などを通じて販売されている。今年4月には新宿の小田急ハルクに直営店1号を開店。今後は大都市に出店したいという。

2014年末にはドイツに子会社を設立、2015年5月から現地仕様のリカバリーウェアの販売をドイツ、スイス、オーストリアのドイツ語圏で開始。バイヤーからの反応もよく、初年度は1億円の売り上げを目標にしている。