國定さんからのアドバイス

情報収集というのは、やたらめったら情報を集めればいいというものではない。あれもこれもと情報を集めていても、それが自分の仕事とまったく関係がなかったり、関係が薄いものであれば、無駄になってしまう。サラリーマンにおける情報収集というのは、自分の仕事に生かすためにするものだ。つまり、自分の仕事において何が必要かということを明確にする必要がある。

集めた情報について人としゃべることも有効だ。人としゃべると頭の中で散らかっていた情報の断片が整理されたり、違う視点を得ることができ、結果として思わぬアイデアが出てくる。ビームスの設楽洋社長のやり方だが、仕入れた情報をしゃべっていて、ショックを受けた言葉をとにかく書き留めておく、というのもある。ショックを受けたことというのは、要するに自分に足りない部分ということだ。

情報収集の主な手段として本を選択している人は多いだろう。しかし、本を読むのもただ読むだけではよろしくない。例えば、目次を見て内容を想像し、自分ならどう書くか、どういった内容にするのかを考える。そのあとに目を通してみる。違っていたら、それは自分にない考え方があったということで勉強になる。それから、「本はノートと思え」ということだ。社長の愛読書というのは、使い込まれた英語の辞書のようになっている。自分の考えたこと、思ったことをすべて書き込んでいくのでこのようになるわけだ。このように熟読した本を、期間を置いて再読するのもいいだろう。自分の書き込みと併せて読むことで、自分が成長しているかどうかの確認にもなる。

國貞文隆
1971年生まれ。東洋経済新報社記者を経て、コンデナスト・ジャパンへ。「GQ」の編集者としてビジネス記事を担当。著書に『やはり、肉好きな男は出世する』。
 
永井孝尚
1984年、日本IBM入社。2013年、独立。多摩大学大学院・客員教授。著書に『100円のコーラを1000円で売る方法 1~3』『残業3時間を朝30分で片づける仕事術』。
 
(唐仁原俊博=構成 小倉和徳(國定氏)、岡本 凛(永井氏)=写真)
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