経営状況を知ることができるCF計算書

企業の経営状況を知る手がかりはいくつかあるが、キャッシュフロー(CF)計算書を見るのが最も手っ取り早い。『図解!業界地図 2016年版』では、企業データとしてCF計算書に注目。14年度の数値ばかりではなく、主要企業については過去5期累計も掲載している。

『図解!業界地図2016年版』(ビジネスリサーチ・ジャパン著/プレジデント社刊)

財務諸表のなかでは、売上高から各種費用や収益を加減して営業利益や最終的な利益である当期純利益などを示す損益計算書(PL)が最も身近な存在だろうが、PLだけでは見えてこない部分があるのも事実。たとえば、PLに反映されるのは借入金のうち利息のみだし、費用として計上する減価償却費は、実際には支出をともなうわけではない。

その点、CF計算書は企業の生命線ともいうべき、実際のキャッシュの流れを示しており、企業の財布の中身や企業活動の方針がより見えてくるものだ。シャープやスカイマークが苦境に立たされているのも、キャッシュ不足にあることは歴然としている。

広告代理店最大手の電通の14年度売上高は7000億円台と、それ以前の2兆円規模から大幅に減額になった。決算作成を日本基準から国際基準(IFRS)にシフトしたためである。このようにIFRSを適用する企業が増える半面、売上高などの数値の継続性に疑問符がつく例が目につくようになっている。その点、CF決算書に限れば、日本基準とIFRSでは特別な差異はないという利点もある。

決算書を読むというと身構えたりする人も少なくないが、「営業CF」「投資CF」「財務CF」の3部で構成されているCF計算書の場合は、数値がプラス(入金超)なのか、あるいは赤字(出金超)なのかを確認するだけである。