なぜJ-REITが買われているのか。アベノミクスがインフレ政策を掲げているため、地価が上昇するとの連想から、J-REITへの関心が高まっているのは事実だが、最大の理由は、「ほかに投資できるものがないから」だ。

たとえば銀行などの金融機関は、預金を通じて集めた資金の運用先として、融資だけでなく、これまで国債を大量に購入してきた。

しかし、利回りが0.2%台まで低下した長期国債を、さらに買い進めるのは難しい。この先長期金利が上昇すれば、債券価格の下落リスクを抱え込むことになるからだ。

日銀は質的・量的金融緩和の一環として、市場から長期国債を買い上げている。国債を大量保有している金融機関は、この流れに乗じて、保有国債を売却し始めた。が、問題は、国内向けの融資がほとんど伸びていないことだ。つまり、国債を売却してキャッシュを得たものの、それを再び運用に回す先がない。そこで目に付いたのが、J-REITだ。これならまだ3%程度の分配金利回りを得ることができる。分配金利回りと長期金利のスプレッドが3%以下に縮小してもJ-REITの物色意欲が後退しないのは、世の中に「金利」というものが消失しかけているからにほかならない。

ここから先、J-REITはまだ買えるのか、ということだが、基本的には「買える」。ただ、4月にかけ金融機関が決算対策で、含み益のあるJ-REITを一旦売却してくる可能性はある。そのとき、一時的にJ-REITの価格は調整するだろう。個別にJ-REITを選ぶのが大変なら、東証REIT指数に連動するタイプのETFもある。これならすべてのJ-REITにパッケージで投資しているのと同じなので、初心者でも投資しやすいだろう。

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