投資信託は、証券会社や銀行など販売金融機関を通じて販売されるルートと、投資信託を運用している投資信託会社が、自ら自社運用ファンドを販売する直接販売(直販)ルートがある。
直販のメリットは、銀行や証券会社でファンドを購入する際にかかる購入手数料がかからないこと。多くの銀行、証券会社では乗り換え営業をかけることにより、手数料収入を増やしてきたが、その影響を受けないため、ファンドマネジャーにとっては運用しやすい環境になる。逆に乗り換えが続くと、ファンドマネジャーは解約資金をつくるため、ひたすら組み入れ資産を売却する状況に追い込まれる。それが繰り返されるうちに、運用実績は徐々に劣化する。
投資信託は長期保有が原則と言われるが、それは解約が相次ぐと、運用の体を成さなくなるからだ。だからこそ、手数料欲しさに投資信託の乗り換え営業を繰り返す販売金融機関が批判され、直販系投資信託会社への関心が高まってきたともいえる。
現在、直販をメーンにしている投資信託会社は、さわかみ投信、セゾン投信、レオス・キャピタルワークス、コモンズ投信、クローバー・アセットマネジメント、ありがとう投信、ユニオン投信、鎌倉投信の8社。かつてこの8社は十把一絡げで見られていたが、ここにきて個別色が強まってきた。
セゾン投信はこの4月からは日本郵便との業務提携が本格的に稼働し、全国の郵便局が同社のファンドをPRする態勢が整った。一方、地方銀行を中心に販売網を拡大しているのがレオス・キャピタルワークスだ。同社の看板ファンド「ひふみ投信」は直販専用だが、同じ内容で「ひふみプラス」を運用しており、こちらは証券会社、銀行など17社が、販売金融機関に名を連ねている。
この2社は、独立系投信会社の中でも順調に純資産総額(※1)を伸ばしている。セゾン投信が運用するファンド2本の純資産総額合計は、2月末で1192億2400万円、レオス・キャピタルワークスは3本のファンドで合計441億1900万円だ。両社とも安定的に資金流入が続いている。