予備試験から司法試験への新ルート
さらに追い打ちをかけるかのように、文科省は司法試験の合格実績や教育プログラムの内容などの評価に基づいて、15年度から各ロースクールに配分する補助金の配分比率を変える改革を行う。特に厳しいのは配分比率が現行の補助金の50%という最低評価を受けた、北海学園大学、京都産業大学、国学院大学、駒沢大学などの7つのロースクールで、ほかのロースクールと連携しないと、16年度の補助金が全額カットされてしまう。
こうした“ジリ貧傾向”のロースクールを横目に新たな法曹への道として注目されているのが、11年からスタートした「予備試験」である。民法や刑法などの法律科目を中心に「短答」「論文」「口述」の試験を行い、合格するとロースクール修了者と同等の学識や能力を身に付けているとみなされ、司法試験の受験資格を得ることができる。受験者は11年の6477人から年を追うごとに増え、14年には1万347人と初めて1万人の大台に乗せた。
その14年の予備試験の合格者は356人で、合格率は3.4%。確かに“狭き門”であることは間違いないのだが、驚くべきことは予備試験経由での司法試験の合格率である。14年のそれは66.8%で、ロースクール修了者の21.2%の3倍以上の好成績をあげた。このため「予備試験合格者のほうがロースクール修了者よりも優秀」と考える大手ローファーム(渉外法律事務所)や有力な法律事務所が多く、司法修習が終わった後の就職の面でも有利に働く傾向が強まっている。
面白いデータもあって、14年の予備試験受験の出願時点で学部在学中の人のうち68.1%を、東京大学、慶應義塾大学、中央大学など司法試験の合格率が上位の14校だけで占めている。また、同じように予備試験受験の出願時点でロースクール在学中の人のうち65.7%を、やはり上位の15校で占めているのだ。さらに、予備試験経由で14年の司法試験に合格した163人のうち、学部とロースクール在学中の人が全体の73.0%も占めている。「優秀な人ほどロースクールから予備試験へ」という流れは、今後ますます強まりそうな気配だ。