なぜ親の冷静な対応が欠かせないのか

さらに、夏休みに書いた読書感想文でも、似たようなことがありました。

その先生から「Kちゃんの書いたものをコンクールに出したい」との打診があり、お母さんは素直に嬉しく、「ぜひ」と伝えます。

ところが、しばらくしてから、確認用に返ってきたKちゃんの感想文を見ると、先生の朱入れが山ほど入り、真っ赤。Kちゃんを見るととても悲しそうです。

お母さんは悩みました。「コンクールに出せるというのは、ひとつの成功体験かもしれない。けれどもこれだけ直したら、もはやKの書いた作文ではなくなってしまう」。

結局、お母さんは、感想文のコンクールへの応募はとりやめました。それがKちゃんにとっていいだろうと思ったからです。担任の先生は、残念そうだったようですが……。

Kちゃんのお母さんの素晴らしいところは、その担任の先生について、Kちゃん本人の前でねちねち悪く言うのではなく、「応募しない」という行動ひとつで済ませたところです。

こういうシチュエーションで、わが子が逆境にあるときには、親の冷静な対応が欠かせません。

もっともよくないのが、わが子の言い分に完全に同調して「そうよね?○○先生って、ダメよね」と、その先生の悪口を言いつづけてしまうことです。

子どもは、親を見て育ちます。親が誰かを、その人がいないところで悪く言うことを当たり前にしていると、子どもにとってそれが「当たり前」になります。

家の人の言葉は、そのままその子の文化になるのです。

その先生自身に改めるべき点がある場合ももちろんあるでしょう。だとしても、子どもの前で先生を悪く言ってはいけないのです。

担任の先生を変えるということは簡単ではない以上、親の仕事は、その状況をわが子がよりよく受け止められるようにしてあげること。

たとえば、「いつも最高の先生にみてもらえるとは限らないからね」でもいいし、「○○先生は、こういうところがいいよね」と見つけてあげてもいい。

いまの状況を子どもができるだけプラスにとらえられる言葉をかけてあげることです。

※本連載は書籍『へこたれない子になる育て方』からの抜粋です。

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