「たとえばコンビニで売っている弁当は、すぐに入手できたり、品揃えが豊富といったサービスに多大なマージンがのせられていて、原価は20%以下の可能性が高い。これでは一所懸命稼いだお金を使って、苦しみながら価値の低い食品を食べているようなものです」

安さばかりを追い求めるあまり、実は価格に釣り合った食品を口にできていないとするなら、お金をかけずに価値の高い食事を取ることははたして可能なのか。有路さんは、提供される過剰なサービスの部分を自分でこなしてコストカットをはかればいいと語る。

「具体的な方法としては、自分で調理する。500円の食材原価があれば、2000円で売っている仕出し弁当レベルを作ることができます。また国産の食材を選べば、日本の農林水産業の取り分もおのずと増える。もともと価値のあるものを自分で調理するだけで、自分も家族も日本の一次産業もハッピーになるんですよ」

しかし厨房に立った経験が少なく、忙しくて調理する時間もつくり出せない、というのが世の男性の意見だろう。それも一点集中で工夫すれば、解決策が見えてくるという。

「私がお勧めしたいのは、魚をさばくこと。もちろん毎日包丁を握る時間はないだろうから、週末に集中してストックをつくる。いい真鯛を買ってもたかだか1000円。それで味噌汁、かぶと蒸し、あらだきが作れて、冷蔵庫の急速冷凍機能を利用すれば、毎日刺し身だって食べられます。非経験者も、料理教室に数日も通えば基本は身につく。なんせ魚をさばく姿はカッコいいから、家庭でお父さんの価値も上がりますよ」

たとえ懐が寂しくても、「食事は誰かが作ってくれるもの」という概念を捨てれば、豊かな食生活を送ることはできる。今までのワンコインランチ生活で捻出したお金で調理器具を買うと、新しい世界が切り開けるかもしれない。