口ぐせからその人の過去と近未来がみえる
会長は30~40代の頃、たとえば、部下たちの仕事が遅れているときには、さりげなく催促をしていたようだ。
「(仕事の成果を)早く見てみたいな~」
「(君なら、(仕事を)もっとできるんじゃない?」
こんな説明をしていた。
「上司として仕上がりを待ち望んでいることを伝えるだけでなく、部下のプライドをくすぐることで、やる気を起こさせることが大切。成長を部下と一緒に待ち望む姿勢が必要だ」
ミスをして叱らざるを得ないとき、次のようなことを部下に言っていたという。いずれも、部下のプライドを尊重するために口にしていたようだ。
「君は(職場の皆にリーダーとして)影響力があるのだから……」
「君でも、ミスをするんだ……」
「釈迦に説法だろうけど……」
「もう、後輩だっているんだから……」
「エースになる人なのだから」
部下がゆきづまっているときは、かつての成功事例を思い起こすような言葉をかけていた。部下の成功事例を心得ているように話すのが、ポイントであると強調していた。
「あなたは、これまで~も~も~もしてきたのだから」
「~のとき、~をしてくれたからな……」
「~までできたのは、君だけだったんだよ」
これらの口ぐせは、拙書『会社で落ちこぼれる人の口ぐせ 抜群に出世する人の口ぐせ』(KADOKAWA)にまとめた。頻繁に口にする言葉から、その人の過去や近未来がみえてくるものだ。
2人の経営者は、口ぐせどおりの人生を歩んだ。