ここに、リーダーとしての効果的なコミュニケーションを始めるステップをいくつか挙げよう。

[1] 一貫性を持つ

メッセージが首尾一貫していることは大切である。ロナルド・レーガンは何度も同じスピーチを繰り返してばかりだと中傷されることがあった。しかし彼の崇拝者であった英国のサッチャー元首相は、レーガンが仮に五つか六つのアイデアしか持っていなかったとしても、それらはいずれも彼の根本的な考え方を示すものだったと語った。主なステークホルダーに企業理念を理解してもらうためには、リーダーは企業の中核を成す価値観についての根本的な考え方を繰り返し伝える必要がある。ビジョンと価値観、目標の整合性が図れるかは、メッセージの質、そして頻度にかかっているのだ。

[2] 明瞭かつ確実な目標を定める

組織をどの方向に導きたいのかを社員に伝える。

[3] 社員をはじめとする主要な利害関係者のコミットメントを勝ち取る

大きな可能性を示すことによって彼らを鼓舞し、積極的に仕事に関わってもらう。そして、社員が何を、いつ、いかに行うかという公約を引き出す。

[4] フィードバックは頻繁に

リーダーシップとは、他者を通じて結果を出すことである。リーダーは、常に十分なフィードバックを部下に与えること。多くのトップは、直属の部下に対し、年次業績評価を待たず週ごとに褒めたり、改善を忠告するなどの定期的なコーチングを行っている。

[5] 常に先頭に立つ

事業あるいは企業が前進・後退するとき、リーダーは先頭に立つか、中心となって舵を取るべきである。自分の目で現状を確かめるとともに、社員の前に姿を見せ、声を聞かせること。

[6] 行動を呼びかける

予期せぬ状況に直面して、方向転換の必要があるとき、またはチームを鼓舞する必要があるとき、そのことを率直に伝え、チームの支援を求めるべきである。誰が何をなすべきかを指示することは介入ではない。それこそリーダーシップである。

[7] 効果的なコミュニケーションは誰にも必要であることを強調する

コミュニケーションはリーダーだけでなく、社員の仕事でもある。各社員が縦のコミュニケーションに加え、横のコミュニケーション技術を養う必要がある。

[8] 伝達手段は賢く選ぶ

メールでも的確なメッセージは伝えられるが、対面でなされるべき会話の代用にしてはならない場合もある。業績についてコメントするときなどがそうだ。メールは社内告知や進行中の仕事に関する伝達事項を明示するには適しているが、1対1のコミュニケーションの代わりにはならない。

会社のビジョンと使命感について社員の気持ちを高揚させ、待ったなしの変革が必要であることを伝えるには大規模な会議が理想的である。プレゼンテーションの原稿は事前に用意するよりメモを見ながら、聴衆と、できる限りアイコンタクトを取って話そう。