ゼリー試食体験で、その威力を実感
液体凍結の威力を実感したのは、同社での試食体験だった。一口サイズのイチゴゼリーを一般的な冷風によって凍結させたものと、液体凍結させたものを食べ比べたところ、前者はシャーベットのようにシャリシャリとした食感だったが、後者はアイスクリームのように滑らかで、とろりとしたゼリーとは別の冷凍菓子だった。写真にあるように上は液体凍結でとろみ感が残っているが、下の一般冷凍では完全に結晶している。
こんにゃくや豆腐は冷風冷凍すると、氷の結晶が細胞膜を破壊して水分を失い、スポンジ状になってしまう。これがいわゆる「冷凍焼け」という現象だ。しかし、液体冷凍で解凍すれば、冷凍焼けは起こらず、そのまま元に戻る。
通常は冷凍した食品をいったん解凍して、再度冷凍すると食べられる代物ではなくなるほど劣化するが、テクニカンの液体凍結では何度繰り返しても変化しない。試しに、厚さ1センチほどのステーキ肉の冷凍と解凍を3度繰り返す実験を同社でしてもらった。しかも、解凍する度に肉を叩いて繊維を断ち切る。その上で、最後にフライパンで焼いて食べてみた。どんなに叩いて冷凍・解凍を繰り返しても「ドリップ」は出ていない。おいしいステーキだった。