社外取締役の報酬相場を予測
上場企業には、不特定多数の株主が存在します。独立取締役は、少数株主の利益を代弁して、適切な経営が行われているかを監督し、助言する役割があります。加えて、社外とはいえ、取締役としての法律上の責任は、社内の役員と同等です。もし、この役割が果たせる人材であれば、その重責からも相応の報酬は必要でしょう。何より、報酬水準が妥当かどうかは、株主が判断する問題なのです。
とはいえ、内容より人数合わせを優先させる会社が存在することも事実です。社長から見れば、部外者が経営に口を出す「うっとうしい存在」でもあります。現時点では、できるだけおとなしい「名ばかり社外取締役」を求める経営者も少なくないでしょう。そのような会社は、できるだけ独立取締役の報酬を抑えようとするかもしれません。
表は、企業規模(資本金)と付加役割の大きさで考えてみた、独立取締役の役員報酬モデルです。
やはり、企業規模が大きくなると、人材の経験・実績に関する要件水準も高くなります。付加役割とは、取締役会以外の各種委員会などへの参画や取締役会議長として役割付与のことで、責任の重さが増し、時間的拘束の長さにもつながります。
おそらく、大企業では1000万円以上が相場になっていくと推測します。需要は確実に増えるので、自然と報酬も上昇していきます。とはいえ、際限なく上がっていくわけでもありません。
まずは、社内役員の報酬水準との比較があります。この点では、(役付でない)社内取締役の役員報酬の3~4割程度が妥当ではないでしょうか。取締役としての責任の重さは変わらなくても、拘束時間や労力は比べものになりません。2000万円の会社なら600~800万円、3000万円なら900~1200万円ということになります。
また、独立取締役という性質上、対象者がこの報酬に頼るような高額でもいけません。時には、経営者に対して、厳しい指摘や苦言を呈する役目でもあります。「就任期間を少しでも延ばすため、経営者から嫌われないようにしよう」といった保身に走っては困るのです。
昨年あたりから、社外取締役を専門とした人材紹介会社も増えてきました。いずれ近いうちに、独立取締役の報酬相場も定まってくるでしょう。
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■上場企業のための社外取締役(独立役員)選定・導入マニュアル
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