電話は非対面のコミュニケーション。相手と直接向かいあえないため、時として先方の事情を無視した失礼な対応をとってしまいがちである。アポイントを取るのは仕事の基本中の基本。しっかりマナーを身につけたい。

アポ取りで気をつけることは何か。ライフスタイルマナーコンサルタントの宗像智子さんに話をうかがった。

「電話をかけるときは、第一声が大事です。いかに好印象をもってもらえるかを意識して『○○社の△△と申します。お世話になっております。営業部□□様はいらっしゃいますでしょうか?』とやや高めの声で発声してください」

受話器を通すと声は半音低く相手に聞こえる。電話での低い声は相手に覇気のない印象を与えてしまうので、普段よりワントーン高めの声で話すほうがいいのだ。

「相手が聞き取りやすいように、滑舌よく、早口にならないようにしましょう。気をつけたいのが『もしもし』という言葉。つい使ってしまいますが、ビジネスではNGワードです」

相手が電話に出たら「本日は、○○の件でご連絡いたしました」と、まず簡潔に用件を伝えるのが電話のマナー。

「電話で怖いのが日時の誤認です。約束の日時を決める際には、言い間違い、聞き間違いを防ぐため、時間は24時間では言わずに午前・午後をつけて言いましょう。一時(いちじ)と間違いやすい7時は『しちじ』ではなく『ななじ』と言うクセをつけるとミスが少なくなります」

電話を切る前には必ず取り決めたことを復唱、確認して「ありがとうございます」の言葉で締めくくる。

「電話を切るときは受話器を本体に置く前に指でそっとフックを押さえて切るようにするとガチャンという音がしないので、丁寧な印象が残ります。試してみてください」

アポイントを取れる人と取れない人との大きな違いはどこにあるのか。

「まず口調から、相手が今どんな事情にあるのかを察する観察力があるかないか。電話をかけたとき、相手の声のトーンやスピードから『忙しいときにかけた』と思えば、用件を短く伝えるだけにして、改めて電話をかけるようにします」

もちろん携帯電話にかける場合は「今、お時間よろしいでしょうか?」と尋ねることは必須である。アポイントの取れる人、取れない人の違いは、いかに相手に配慮した対応ができるか否かなのだ。