過去の情報から、日本の未来を占う
――外国語のほかには何を学ぶべきでしょうか。
世界は常に変化してきたことを理解し、将来を見通せるようになるために、歴史を学ぶべきです。どの年でもいいから選んで、それから50年後の世界は実際にどうなったか調べてみてください。驚くべき変化が起きたことに気づくでしょう。「やがてこうなる」と当時の人々が聞かされていたことは、50年経つとその通りにはならず、劇的に異なる世界になってしまった。そもそも、世界が変わっていくとはどういうことなのか。それを考える力を養うために、哲学も同時に勉強すべきですね。「ちょっと待てよ、この変化はどう将来につながるのだろう、もしこのまま変わらないとしたら?」と考える習慣をつけることが大切なのです。
――では過去の歴史から見て、日本はどうなっていくと思われますか。
私は日本が大好きですが、この国は少子高齢化が進み、非常に深刻なペースで衰退しています。人口が減り続けるまま世界から隔離されていてはいけません。出生率を上げる努力をしないで移民も受け入れず、借金を増やすことをやめない国に、明るい未来はない。
かつてビルマ(現ミャンマー)はアジアで最も豊かな国の一つでした。しかし62年、クーデターによって軍が政権を握り、外国人を追い出して門戸を閉ざし産業を国有化してしまいました。自分たちはとてもリッチで成功しているからと「鎖国」を続けたために近代化が遅れ、もっとも貧しい国になってしまった。強大な帝国だったエチオピアも17世紀、宗教対立から鎖国を実施し、次第に衰退してしまったのです。
移民たちは一般的に勇敢で野心家が多い。頭もよくて冒険好きです。日本の若者も外へ出て、誰も知り合いがいなくて言葉も通じない国へ行ってみるべきです。冒険しないと、つまらない人生になってしまいますよ。
1942年、米国アラバマ州生まれ。イェール大学卒、オックスフォード大学ベリオールカレッジ修了。ジョージ・ソロスとクォンタム・ファンドを立ち上げ、4200%という驚異のリターンを上げる。37歳で引退、世界を旅する。最新刊は『ストリート・スマート』。