なぜ調べることをやめなかったのか?

――自分が理解したと思うまで、徹底的に学んだり調べることを習慣にしているそうですね。

投資をやっていると、歩みを止めることはできません。常にもっと多くのことを学ぼうとし続けなければならないのです。この姿勢は、私がイェール大学に入学したときからです。決して優秀な学生ではなかったから、できる限りの知識を得たと思える瞬間まで、勉強の手を緩めないと決めたのです。仕事をやり続ける、学び続けるというのは、狂気と紙一重ともいえるくらいのこだわりです。別の言葉に置きかえるなら「粘り強さ」でしょうか。

世の中には、とても頭がいいのに成功していない人たちがたくさんいます。容姿端麗でも、才能に恵まれていても、学歴が高くても、まったく芽が出ない人がいる。成功するのは、粘り強くやり続けられる人だけです。だからあきらめてはいけません。

――では、若い頃、これを勉強しておけばよかったと思うことは。

外国語を操る能力がないことは、自分の弱点だと常に感じていました。その国の言語がわかれば、もっと情報が入ってくる。相手が密かに話しているつもりの内部事情なども、理解できるでしょう。

自分が後悔しているからこそ、娘たちにはバイリンガル(英語と中国語)になってもらいたい。中国語を学ばせたのは彼女たちが生きる時代は中国語が世界でもっとも必要とされる言語になるからです。100年後に英語が世界でもっとも使われている言語であり続ける保証はない。以前はフランス語が世界でもっとも強い言語でしたが、すでに変わってしまったのですから。

特に日本人にとって外国語を習得することはきわめて重要です。みなさんが将来頼るのは国内ではなく、海外の市場だからです。すでに英語が話せる人は、さらに中国語やスペイン語をやるといいでしょう。スペイン語がわかればイタリア語なども理解できるようになるでしょうし、ラテンアメリカの人口は減少していませんから。

朝鮮語を学ぶという選択肢もありますね。私はおそらく5年以内に、朝鮮半島の統一が実現するのではないかと予想しています。中国は北朝鮮北部でインフラを充実させるために多額の資金を投じていますから、北部の人たちはすでに外の世界に触れており、闇市も存在します。こうやって、少しずつ開けてきているのです。統一されれば、今後30年において朝鮮半島は大きな力を持つでしょう。北朝鮮には、高い教育を受けてよく訓練された安い労働力がありますし、天然資源も豊富です。韓国には巨大な資本がある。日本はとても彼らに勝てないでしょう。