割増退職金の水準を知る方法
標準的な上場企業の場合、50歳時点での退職金が1000万~2000万円程度、それに割増退職金が500万~1500万円程度上乗せされる、といったイメージでしょうか。
ちなみに、上場企業であれば、「希望退職募集の結果」といったIR情報が自社サイトなどで公表されますので、割増退職金の水準を類推することが可能です。
図表は、近年発表された主要企業の希望退職や早期退職の結果です。特別損失の中には、再就職支援会社との契約料(1人当たり平均100万円程度)なども含まれますが、その大半は割増退職金と考えてよいでしょう。したがって、1人当たり特別損失額を算出すれば、ほぼ割増退職金の平均水準ということになるのです。
グリーは、若手社員が中心の会社のため例外的ですが、JTや電通は3000万円といった高額になっています。「そんなにもらえるなら」と思われるかもしれませんが、このクラスの企業だと、50歳前後の標準年収は1000万円以上になります。社員にすればその後に得られるであろう1億円前後の収入と引き換えにとなると、判断に迷うところでしょう。
一方、企業側にとっては、社会保険料や福利厚生などを含めると、削減できる人件費はこれ以上となり、十分に算盤が合うのです。
この図表で、電通の早期退職応募者は104人となっていますが、もともとの募集人員は300人です。要するに、3000万円以上積まれても、辞めない人の方が多かったということを意味します。
割増退職金の水準は、会社側と社員側の損得勘定の妥協点を表しているのです。