Case4 「ひっ算をきちんと書かせています」

「間違えてもいいから、どんどん暗算で計算しなさい」と指導しています。

暗算しなさいという理由は、ひっ算で解くよりも賢くなるからです。算数は難しい問題の解き方を覚えるものではなく、頭をよくするためのトレーニングだと思っています。だから算数の問題を解くときにはできるだけ頭を使う方法で行うほうが、より賢くなれるのです。

ひっ算では紙に書くことを、暗算では、すべて頭の中だけで行うことになります。繰り上がりや計算途中の数字もすべて頭の中で一時記憶しながら、最後まで計算しなくてはならないので、頭のトレーニングになるのです。

算数がすごく苦手な子の場合、最初はたし算やひき算の暗算から始めましょう。その場合もその後2ケタ×1ケタのかけ算やわり算を暗算でできるようになってほしいです。

ひっ算だけではなく、文章題の場合も途中の式をできるだけ省略することをおすすめします。途中の式を書かないことで、先に計算した数字を一時的に頭の中に覚えておきながら、別のことを考えるという頭の使い方にも慣れてきます。解いた形跡を残すのは、何問かに1問で十分です。大切なのは、頭の処理能力を上げ、賢くなることです。

それに子供が字を書くスピードは速くありません。思考のスピードのほうが速いのです。ひっ算や式をきちんと書かせていると、書くスピードでしか思考ができなくなります。

文章題を暗算で解いている子の親に「うちの子、また計算ミスしたんです!」と言われたら、私は「計算ミスはあまり気にしないでください。考え方が合っていれば大丈夫です」と伝えています。中学受験を間近に控えた小6ならミスをしないようにするのは当たり前ですが、小4まではミスを恐れず、どんどん暗算させてください。