「自由時間を犠牲にしたくない」
先の調査では、なりたくない理由で男女ともに最も多いのが「自分の自由な時間を持ちたい」(男性56.2%、女性38.9%)というものだ。続いて「専門性の高い仕事がしたい」(男性14.6%、女性23.7%)というプロフェッショナル志向の社員もいる。だが、「重い責任のある仕事は避けたい」「組織に縛られたくない」(男性25%、女性30.6%)という社員も多い。
この結果から新入社員の管理職のイメージは「責任が重い上に組織に縛られて働き、なおかつ長時間労働をしている人」ということになる。おそらく彼ら(彼女ら)の職場の管理職の実態なのであろう。
実際に日本の企業社会では「長時間働く人=仕事ができる人」という風潮があるのも事実だ。消費財メーカーの人事課長は「社員の中にはいつでも長時間馬車馬のように働き続ける人が良いパフォーマンスを上げる人だと思い込んでいる。確かに業績も上げているし、あの人は仕事ができそうだと思われているが、それが女性をがんばりにくくさせている原因だ」と指摘する。
とくに営業系は管理職になりたくない女性がほとんどと言う。
「数百人の女性営業職にアンケート調査を実施したところ、5年後も営業の仕事を続けていきたいかという質問では、8割の女性が嫌だ、続けるなら辞めたいと答えている。ましてや管理職なんてとんでもない女性がほとんどでした。管理職になりたくないために候補生である一歩手前の等級になる前に脱落するか、あるいは昇級したがらない女性もいる。中には一営業職でよいから私を上げてくれるな、言う人もいます」(消費財・人事課長)
今でも仕事は大変だが、それでも有給休暇を取ろうと思えば取れるし、家庭と仕事の両立がなんとか保たれている。だが、多くの部下を引っ張る立場になれば、自分や家族以上に気にしなければならない範囲が一気に増えて、その責任までは負えない。だから軽はずみに管理職を引き受けられないと考える女性も多いのではないか。