(5)家事の独占は腐敗を招くから

最後に妻側の問題である。結婚生活を継続させる最大の魅力は、相互補完だと私は考えている。「いろいろあっても、この人がいないと結婚生活が成り立たない」という状態が共有できていれば、恋愛感情は冷めても楽しく一緒にいられるものである。しかし、これが実に難しい。

原因は市場経済メカニズムが家庭内労働では機能していないからである。専業主婦の場合、掃除・炊事・洗濯は、妻の独占的仕事である。独占状態にあるので、市場経済メカニズムは働かないし、比較評価ができないために腐敗の温床にもなる可能性が高い。ビジネスでは独占禁止法があるくらい、市場の独占は好ましくない。独占状態になると価格の上昇、品質の下落は必然である。家庭内労働の独占状態では、夫が不満をいうのも恐る恐るで、そもそも客観的評価を下そうとしても、品質が徐々に低下しているので気がつかない場合も多い。「最近、手抜きじゃないか」と自覚症状が出るころには、相当の重症になっているものである。たとえ手抜きがあったとしても、独禁法による罰則規定はなく「そんなに文句をいうんだったら自分でやってよ」の一言で終わってしまうので、妻がいったん手抜きの味を覚えると一生継続してしまう可能性が高い。

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恋愛感情の変動から見た結婚の推移

夫婦関係の推移を恋愛感情から考察すると、図のようになる。出会って恋愛感情が芽生えると(A点)、その後セックスすることでピークを迎えるが(B点)、徐々に恋愛感情は冷めてゆく。結婚するにふさわしい相手だとC点に到着する前にプロポーズして結婚することになるが、恋愛感情の下降トレンドは不可避である。夫婦生活が長くなると、いずれは愛情ラインを上下して「空気のような存在」になってゆく。夫婦によっては、愛情がなくなるばかりか一緒にいたくない状態にもなるが(D点)、離婚には多大なコスト(財産の折半、子どもの親権問題、養育費の支払い等)が生じることから、好きではないけれど離婚はしないという場合もある。E点を超えて離婚する夫婦がいるが、それが全婚姻の約3分の1ということである。したがって、離婚でもしない限り、結婚生活とは我慢の連続である。もし良好な夫婦関係を築いているならば、奇跡的にすばらしい夫婦である自覚を持って、より一層配偶者を大切にしてもらいたい。

他方、もしD~E点圏内に位置するのであれば、まさしく結婚生活とは「離婚か、我慢か」の選択で日々迷うことになる。このような読者には、手遅れになる前に、幸せになるための離婚(「離幸」と呼ぶ)を真剣に考えてみることをお勧めする。

(平良 徹=図版作成)
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