(1)恋愛感情が長続きしないから

そもそも、ドキドキ感、トキメキ感を伴う恋愛感情は、身体にとって大きな負担である。心拍数が異常に上がり、あたかもマラソンを走っているかのような行為が恋愛であるが、残念ながら、マラソンを一生走れないのと同じように一生の間ずっと配偶者を愛することはできない。私たちの身体は、健康になろうと作用しているため、身体によくないドキドキ感やトキメキ感を減らそうとしてしまうので、最大2年程度を限度として消滅してしまう運命にある。ただし、短命な恋愛感情は「恋愛バブル」を生み出すために、相手を必要以上に高値と値踏みし「この恋愛は一生続くのではないか」と錯覚してしまうことから、一生保有したいという衝動に駆られてプロポーズすることになる。「恋愛して結婚する」という至極まっとうなプロセスはいずれ破綻し、「恋愛して結婚する」のうち「恋愛」がデリートされて「結婚している」状態だけが残ることとなる。

この問題は、高齢化と深い関係がある。わが国の平均初婚年齢は男が31歳、女が29歳、平均寿命は男が約80歳、女が約86歳であるが、平均値で考えると、結婚後50年間は結婚生活を継続しなければならないという、人間がいまだかつて到達したことのない長期の結婚生活となっているのである。ほんの一昔前までは日本人の平均寿命は短く、大正時代では42歳前後、江戸時代ではせいぜい30代で、どの時代でも結婚生活は20年も続けばよかったのである。しかし、現在はその2.5倍。結婚生活の継続は難しくなったといえるであろう。

(2)結婚を生まれて初めてしたから

みなさんはゴルフやテニスや麻雀といったスポーツやゲームをしたことがあるはず。おそらく、最初は失敗の連続。通常は、練習して、熟達して、それで初めて満足のいくものになるのだから当然である。

最初の結婚は、人生にたった一回の大勝負である。なにしろ、男の結婚後の生涯年収をかりに3億円とすれば、専業主婦になる妻にその半分の1.5億円を分配するということ、つまり1.5億円の買い物をするのと同じである。逆に、女から見れば、生涯年収2億円の男と結婚するのか、3億円の男と結婚するのかという問題で、もし3億円の男と結婚するならば、しっかり3億円を稼いでくれるかどうかを見分けるのが重要である。男女ともに、人生最大の大勝負を行うのが結婚である。

ところが、現実にはゴルフと同じように、多少の練習(恋愛)をしたとしても、いきなりナイスショットすることは難しい。通常は本番のティーショットは、ダフるか、ラフに入るか、OB(離婚)になるかといったところである。もしまっすぐにボールが飛んでフェアウェーに落ちたとしても、理論的には、たんなる幸運だったというだけの話である。