思い込み2:任命自体が適格性を自ずと物語る

特定のポジションに誰かが100%適任ということはめったにない。新任リーダーがその職務に必要な業務経験を備えていたとしても、背景的な要件は満たしていないかもしれない。部下はあなたの価値と弱点のどちらに注目するだろう。任命を喜ぶ部下もいれば、抵抗を準備している部下もいると予想される。

最初の反応が否定的だったり、あいまいだったりするのはごく自然なことだ。だが、それをそのまま放置したら、権限を行使し、目的を推進する新リーダーの力は簡単に損なわれてしまうことがある。任命に合理的根拠と支持を与える責任は、当然あなたの採用、または昇進を決めた人たちにあるが、それらの根拠が部下に自ずと伝わると思い込んではならない。主要幹部から目に見える形で支持してもらえるよう交渉する必要があるのだ。

戦略2:説得力のある紹介をしてもらえるよう交渉しよう

新リーダーは自分の任命の合理的根拠を部下に知らせるために、主要幹部から強力な紹介をしてもらう必要がある。

急成長中の医療用品供給会社のCEOが管理担当の上級副社長を初めて任命したとき、会社の自由なやり方を気に入っていた業務部門の責任者たちが新しい方針や手順に抵抗する心配があった。

その上級副社長は、新しい職務に必要な支持を与えてほしいとCEOに交渉した。CEOは業務部門の各リーダーに個別に会って、任命の戦略的根拠を説明することに同意した。彼は、新任副社長を支持しただけでなく、この変革に対する抵抗は会社の成長計画を邪魔することになるというメッセージも明確に伝えたのだ。

新リーダーは往々にして、任命されたこと自体が自分の適格性を自ずと物語るはずだと思い込んでしまう。そのため、リーダーとしての仕事をやりにくくするおそれのある不信感やひそかな抵抗を予想できない。主要幹部と交渉して公然と支持を与えてもらうことで、新任リーダーは自分の新しい権限を強化できるのである。