思い込み3:私は資金不足でもやっていける
新たなポジションに就いたら、仕事を遂行するための資源である金銭、人員、時間を早い段階で獲得する必要がある。だがその場合、今後も少ない資源でやっていくことをほかの人々から期待されるだけでなく、資源を獲得することの重要性を見落とすことにもなる。任命の時点から結果という明白な証拠が出るまでの間に、あなたの同輩や上司は、あなたが組織の中で影響力を持っているか否かを観察し、判定を下す。影響力の一つの証しが資源を確保できることなのだ。
そのうえ、資源の制約を尊重することは意図せぬ結果をもたらすことがある。プロジェクトを支える資金を出してやるという上司のあいまいな約束だけを頼りに、新しい事業ラインを育成するプロジェクトを引き受けたとしよう。そのうち必要な資源が得られると信じて、あなたは突き進む。だが、ラインが大成功してからも追加の資源はもらえそうにない。慢性的な資金不足と人手不足の中で、プロジェクトも人間関係もガタガタになってしまう。
戦略3:資源を得るために交渉しよう
資源を獲得できれば、新任リーダーは「できる人間」と判定される。一例を挙げると、大規模な政府機関の新任次長が、自分の部署の出張予算は他部署よりはるかに少なく、OA機器も少ないことに気づいた。彼女は部長との交渉で、予算の控えめな増額を要求した。彼女の小さな勝利は、その部署の人びとに、彼女が自分たちの利益のためにがんばってくれる人間だと実証したのである。
新しいリーダーのポジションに就くのはいつでも大変だが、その移行を容易にするために事前に対策を講じることはできる。イエスと答える前に、とりあえず新しいポジションに就いて間もない時期にあなたを助けてくれる有形・無形の資源を獲得するために交渉しよう。
(ディプロマット=翻訳)