
新しい技術には必ず「光と影」がある。デジタルは20世紀の科学が生んだ傑作の一つである。本書はそれが人間に何を与え、また何を奪ったのかを克明に検証した力作である。
企業や行政でデジタルマーケッティングの実績を持ち、その威力と可能性を知り尽くす著者は、デジタルが人の能力を奪う本質をこう喝破する。「人間には、道具を作り、その道具に適応しようとする性質がある。そしてその道具に適応し過ぎてしまうことで、本来の人間の能力を削そがれてしまうことがある。その適応力が仇となり、人間がつくった道具により人間が左右される」(194ページ)。
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