テクノロジー関連が2冊、経営関連が4冊、マーケティング関連4冊の順に並べてみた。“鮮度”を重視した結果、1冊を除き、すべてここ1年強で出版された書籍ばかりとなった(2012年3月時点)。
『日本語入力を支える技術』徳永拓之/技術評論社
日本語入力の背後に隠れた様々な技術を解説し、それを使ったソフトウエア開発の可能性を探る1冊。ソフト開発の現場で今、何が行われているかを知るには最適。
『サイバー・クライム』ジョセフ・メン/講談社
政府機関や企業に対し仕掛けられるサイバー攻撃の現状を描いたノンフィクション。「センセーショナルな部分はあるが、エンターテインメント性が高くエキサイティング」。
『グーグル』S・レヴィ/阪急コミュニケーションズ
グーグルの内実に迫ったドキュメント。「はたからは見えにくい企業文化や、ビジネス上のモチベーションの裏にあるものに肉薄。同社戦略の一端を垣間見ることができる」。
『スティーブ・ジョブズ』W・アイザックソン/講談社
米アップル創業者の評伝。「同氏に密着取材した初の、そして最後の書。同氏に近い立ち位置で書かれており、客観的とはいい難いようだが、同社そのものを知る貴重な資料」。
『メイキング・オブ・ピクサー』D・A・プライス/早川書房
CG映画というジャンルを確立したピクサーの内情に迫るドキュメント。S・ジョブズ氏の運営会社だが、同社の人々が主人公。この業界のイノベーションの実情がわかる。
『電機・最終戦争』日本経済新聞社編/日本経済新聞出版社
現在のエレクトロニクス産業を俯瞰する1冊。「赤字の原因、国内の構造的な問題等々を、具体的なデータを基に解説。専門外の人が業界全体の構造を把握するのに最適」。
『キャズム』ジェフリー・ムーア/翔泳社
ハイテク関連マーケティングの古典的名著。「顧客種別やそこに対するマーケティング手法の分析は、ほとんどがこの1冊から生まれた。今もまだ学べることの多い必読書」。
『ソーシャルシフト』斉藤 徹/日本経済新聞出版社
企業におけるソーシャルメディア活用の事例集。各事例の背景についての分析を多数掲載している。「社内のコミュニケーションツールとして等々、その活用の幅は広い」。
『形なきモノを売る時代』西田宗千佳/エンターブレイン
タブレットを軸に、ノンパッケージでのコンテンツ販売が主流となるとき、何が起こるか、何をすべきか分析した拙著。今後数年に必要とされるビジネスの「タネ」を探った。
『ゲーミフィケーション』井上明人/NHK出版
ゲーム以外の分野にゲーム的要素を組み込む「ゲーミフィケーション」の事例を紹介。達成感といったゲーム的演出を加えて質を高める“体験構築”のトレンドを知る。
例外的な1冊は、原著『Cros sing the Chasm』が1991年に上梓された『キャズム』(日本語版2002年)。ドッグイヤー(人の寿命の7倍速)と呼ばれるスピードで動くITの世界で、マーケティングセオリーとして20年以上も生き残っている同書は、圧倒的な長寿といっていい。
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