7.日立、パナソニック、ソニー“年功制から離脱”

日立製作所、パナソニック、ソニーといった大手日本企業が年功要素を廃した「職務・役割等級」の賃金制度に一新した。

パナソニックの現行制度は「主事」「参事」など資格に基づく職能資格等級を軸に運用してきたが、同制度を廃止し、新たに担当する役割の大きさに応じて処遇を決定する役割等級制度を導入する。

月例給は役割等級に基づいて支給し、個人の貢献度や所属部門の業績は賞与に反映される。新制度は国内の全社員を対象とし、2014年10月から導入した。同様に日立製作所も国内管理職1万1000人を対象に「役割等級制度」を導入した。

ソニーの現行制度は過去の実績や将来への期待を含めた仕組みであり、結果として年功的要素が残っていた。新たに「現在果たしている役割」のみに着目した「ジョブグレード制度」を導入し、年功要素を完全に排除する。新制度の対象者はソニー本体に勤める約1万4000人の全社員。8月に労組との協議を経て2015年度からの導入する予定だ。

近年、職務・役割給の導入が進んでいる。日本生産性本部の調査(2014年3月)では管理職の導入率は76.3%、非管理職層では58.0%に達している。

しかし、職務遂行能力の高さを反映する職能給と併用している企業が多く、職務・役割給1本で、しかも非管理職を対象としているところは少ない。運用次第では昇・降格や昇・降給が頻繁に発生し、若手の抜擢もやりやすくなる。

日立、パナソニック、ソニーの目的の一つもそこにある。また、年功要素の廃止はグローバル標準の賃金制度に近づける狙いもあり、電機大手の導入で他の日本企業にも同じ動きが広がる可能性もある。

(参考資料:カネとポスト「まさかの転落」する人しない人~100%成果主義が来る! http://president.jp/articles/-/13172