温暖化と砕氷船が可能にした「東回り」北極航路
日本関連の例としては、2012年12月4日にノルウエー産LNGが初めて北極航路を通って九州電力に納入された。(写真は北極海を航行中のLNG船「オブ・リバー号」)
また、今年7月には商船三井が国営中国海運と合弁会社を設立し、韓国・大宇に新造砕氷LNG船3隻を発注している。これらの砕氷LNG船は、2017年に操業開始予定のヤマルLNGプロジェクトに投入予定だ。厚さ最大2.1メートルの氷海を航行可能とのこと。おそらく、冬の間は西向き航路に使用し、夏の間だけ東にも向かい、ベーリング海峡を通って中国にLNGを運んでくるものと思われる。ヤマルからだと、西回りに比べ航海日数をほぼ半減出来ることになり、経済効果は大きい。
ちなみにヤマルLNGプロジェクトには中国の三大国営石油会社の一つ、CNPC(中国石油天然気集団公司)が20%権益参加していて、年間300万トンのLNGを引き取ることになっている。60%の権益を持つロシアのノバテックは、持分から9%を譲渡する計画だが、春先まで交渉に参加していた日本勢は、ウクライナ情勢を巡る対露制裁の動きの中で離脱したと伝えられている。残りの20%はフランスのトタール(エクソンモービル、シェルと並ぶスーパーメジャー)が保持している。先ごろ、筆者も知己のクリストファー・ド・マルジュリー前社長がモスクワ空港の飛行機事故で逝去されたが、ヤマルLNGプロジェクトもあってモスクワに出張していたのだろう。合掌。
地球は間違いなく温暖化している。
人類はこのような地球温暖化問題に気がつき、1992年に「リオサミット」(環境と開発に関する国際連合会議)を開催、爾来、地球上のすべての人々が一体となってこの地球温暖化問題に立ち向かうための努力を傾注している。その中心となっているのがIPCC(International Panel on Climate Change=気候変動に関する政府間パネル)だ。