しかし、朝日の質問文では集団的自衛権について、「日本が攻撃されていなくても、日本への攻撃とみなして」と説明し、さらに「これまで政府は憲法上、集団的自衛権を使うことはできないと解釈してきました」という説明まで加えている。賛否を決めかねている回答者がこれを読めば、「安倍政権の方針は間違っているかもしれない」と考える可能性がある。
つまり、世論調査といえども、設問次第で結果は左右されてしまうことがあるのだ。それにもかかわらず、1社の世論調査の結果を鵜呑みにすると、社会の動向を見誤る恐れが出てくる。
世論調査を見る際には、結果の数字だけでなく、設問の内容をチェックするようにしよう。また、同じテーマの世論調査が複数あれば、1社の結果だけでなく、他社の結果にも目を通すようにしたい。賛成派、反対派のマスコミをバランスよく選ぶのがポイントだ。実際に経営トップをはじめデキル人になればなるほど、複数のメディアから情報を収集するようにしているものなのだ。
世論調査も統計の一つ。その統計が「最強の学問」と評されたことがあったが、表面上の数字だけにとらわれると、ビジネス上の判断を誤る恐れがある。多方面に情報のアンテナを張るということは、数字の裏を読み取るセンスを磨くことにもつながるのだ。
(構成=野澤正毅 PIXTA=写真)