紙の本での自主出版には、何百万円という費用がかかる。制作や流通にかかるコストを、書き手が支払うシステムだからだ。それだけお金をかけても全国の書店に並ぶわけではないし、宣伝だってどこまでやってくれるかわからない。

でも電子書籍なら、少し勉強すれば、ネットで手に入るツールなどを使ってほぼ無料で自作できる。紙の本と違って在庫コストもなく、基本的にはずっと「店頭」に置いてもらえる。

印税率は出版社経由よりかなり高くできるし(キンドルの場合は最大70%)、値付けの自由度も高い。出版社経由で紙の本を出すことにある種のステイタスを感じるのでなければ、アマチュアが自分で本を出したいとき、電子出版を選ばない理由はない。

問題は、どんなコンテンツなら多くの人に読んでもらえるかだ。

プロは継続的に食べていくために「打率」を重視するから、ある程度ボリュームのある層を狙う。でも、アマチュアが誰にでも受けるものを狙うことに、意味があるだろうか。むしろアマチュアだからこそ、好きなものが当たる可能性に懸けられる。この分野なら誰にも負けないというノウハウや、他の誰にも書けないオリジナリティが詰まったコンテンツなら、誰かが目にとめてくれるかもしれない。

ツイッターで何万人もフォロワーがいるような影響力のある人の目に触れると、あっという間に情報が広がるのが今の時代。100人があなたのコンテンツを面白いと言ってくれれば、それが万単位に伸びる可能性は十分ある。

漫画家 鈴木 みそ(すずき・みそ)
紙媒体で作品を発表してきたが、2012年以降、個人で電子出版も行う。最新書籍に『電子書籍で1000万円儲かる方法』(小沢高広氏との共著)。
(構成=川口昌人)
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