マイゾーンは誰でもつくることができる。そのポイントは、自分なりの生活パターンを習慣化して、生体のリズムを保つことだ。そうすれば、統一・一貫性を保つことができるようになる。そこで気になるのは、どのような生活パターンにすればいいのかということである。

「アスリートは試合でピークの力を出せるように、体のコンディションを調整します。ビジネスマンも同じ。ビジネスの世界はたいてい午前9時から戦いが始まります。当然、朝からパワー全開で働かなければならない。夜型人間では出遅れてしまう。そもそも朝型人間、夜型人間というのは、先天的体質ではなく、ライフスタイルで決まるものなのです」(林さん)

朝活で統一・一貫性がキープできるのなら、まさに9番目のメリットとして位置付けられよう。林さん自身、脳外科医として働いていたときは、昼夜交代型の生活だったが、現在は4時半に起床し、午前中に1日の仕事の大半を終える、という生活パターンに変わったそうだ。

ただし、世の中には、夜に仕事をしなければならない人もいる。プロスポーツ選手であれば、日中プレーするプロゴルファーは朝型人間が向いているが、ナイターに出場するプロ野球選手は向いていないわけだ。林さんは、「夜の仕事であれば、それに合わせて、夜に才能を発揮できるような生活パターンにすればいい。また、どうしても夜型という人であれば、フレックスタイム制度などをうまく活用したらどうでしょう」とアドバイスする。

林さんによれば、早寝早起きは健康にもいいそうで、これが朝活の10番目のメリットになる。

「体の新陳代謝を促す成長ホルモンは、午後11時ごろに盛んに分泌されるので、それまでには就寝したほうがいい。免疫力を高めるメラトニンというホルモンも、夜間に大量に分泌されます。それで、早寝早起きの人は病気にかかりにくいのです」

さらに、林さんは「朝から脳をフル稼働させるには、外に出て日光浴をするのが一番」ともいう。脳を覚醒させるセロトニンというホルモンが、日光を受けた刺激で大量に分泌されるようになるからだ。そして、「目的を持っていたり、物事を前向きに考えたりすることも、脳の働きをよくします。朝にその日の目標を声に出していってみるのもいいですね」と付け加える。

どうだろう、「自分も朝活を始めてみようか」と考え始めたのではないだろうか。朝活のプロを参考に挑戦し、数々のメリットをフルに享受していただきたい。

日本大学大学院総合科学研究科教授 林 成之
1939年、富山県生まれ。日本大学医学部、同大学院医学研究科博士課程修了。93年、日本大学医学部附属板橋病院救命救急センター部長に就任。2006年より現職。著書に『〈勝負脳〉の鍛え方』など。
(南雲一男、小倉和徳=撮影)
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