9条の精神は憲法に入れておくほうがいい
【塩田】自衛権の問題に関する小沢さんの基本的な考え方は。
【小沢】どうってことはありません。これは自然権ですから、個別的も集団的もない。自衛権はセルフ・ディフェンスで、当然、あります。ただ、日本と関係のない、攻撃を受けたわけでもない、他国や他地域の紛争にどこかの国と一緒になって介入するのは駄目と憲法第9条にそう書いてあります。
それでは「国際社会で名誉ある地位を占めたい」という憲法の理想はどうするかといえば、それは国連を通じて、僕は「国際的安全保障」という言葉を使っていますが、国連の秩序維持、平和維持活動に積極的に日本は参加する。これは憲法第9条とは異質の問題で、禁止されていないというのが僕の考え方です。
【塩田】安倍首相は憲法改正を明確に目指していると思いますが、憲法改正については、小沢さんはどういうお考えですか。
【小沢】必要なことはやれば良い。当たり前の話ですが、憲法は国民の生活を守るための最高法規ですから、時代が変わり、状況が変われば、そぐわないところは変えれば良い。
ですが、安倍さんは憲法第9条の否定だから、僕は反対です。9条の精神は憲法に入れておくのが良い。9条について、安倍さんやライトの人は「日本国憲法が特別だ」みたいに言うけれど、そうではない。ケロッグ・ブリアン条約にちゃんと出ています。国連憲章にも似たようなことが書いてあります。ですから、僕は憲法第9条はそのまま残して良いと思います。ただ、「国際社会で名誉ある地位を占めたい」という理念を示す文言が前文にはありますが、逐条の中にはありません。ですから、国連での国際平和のための活動はよろしいというのを付け加えれば良いのではないかと思います。
【塩田】7月13日の滋賀県知事選挙で与党側は敗北しました。安倍政権は今後、原子力発電所再稼働問題、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉、沖縄と福島の県知事選挙、消費税率再引き上げの判断等々、大きな課題が控えています。
【小沢】あまり楽ではないと思いますね。年末に向けて、いいことはないのでは。得意の絶頂のときは頂点ですから、後は下る以外にない。
【塩田】消費税の増税は、野田佳彦内閣が民主党、自民党、公明党の3党合意を取り付けて法案を成立させました。安倍首相は昨年10月、決められたとおりに8%への税率引き上げを決定し、今年4月から実施になりました。安倍首相は今年の11~12月に10%に再引き上げするかどうかを判断しなければなりませんが、小沢さんの予想は。
【小沢】絶対にやると思いますよ、安倍さんは。延ばすと言った日には、財務省は「うん」と言わないですよ。
【塩田】小沢さん自身は消費税増税についてはどういうお考えですか。
【小沢】民主党政権時代に僕が反対したのは、国民との約束があり、増税の前にやるべきことがある、それをやらずに増税をやるのは国民への背信行為だということです。僕は消費税増税そのものに反対したのではない。だから、「そもそも論」です。今度も同じですよ。安倍さんだって、やることがあるんじゃないですか、それをやらずに増税ばかりやるから、おかしいのでは、という話ですね。