その場の衝動買いはクーリングオフ不可
マンションは、一生のなかでもおそらく一番高い買い物だろう。それだけに、念には念を入れてチェックしよう。そこで活用したいものが「住宅性能評価書」である。2000年に制度化され、全国共通のルールのもと、マンションを含む新築住宅の性能を評価し、それを表示したものだ。10の分野の住宅性能を「1」とか「2」の等級で示しており、物件の比較検討をするときには力強い味方になってくれる。
新潟県中越沖地震や東日本大震災などを契機に揺れに強いマンションのニーズが増えているが、その耐震性については3段階で評価されている。「2」は「1」の1.25倍、「3」は「1」の1.5倍の強度がある。また、省エネの観点から気になる断熱性能は4段階で評価されていて、「4」が最高の水準となっている。
新築マンションの購入については、手持ち資金や居住後のローン返済などもあり、やはり慎重に決めていくべきだ。しかし、華美なモデルルームに入ったとたんに目が眩んでしまうのか、その場で衝動買い的に契約してしまう人がたまにいたりする。
実は契約書に判を押すと、新築マンションのクーリングオフは難しい。確かに宅地建物取引業法では、不動産業者が売り主の場合、事務所など以外の場所で契約した場合のみ、8日以内であれば、契約を解除できる。
問題はこの「事務所など」の定義。不動産会社のオフィスはもちろん、モデルルームも含まれる。さらに、購入者が申し出た自宅や勤務先もそれに該当する。そうでない喫茶店やホテルでの契約ならクーリングオフの対象になるが、大半の人はモデルルームで行うはず。つまり、クーリングオフは難しいと思ったほうがいい。それだけにモデルルームの見学でも冷静な判断が必要だろう。
さくら事務所コンサルタント 三上隆太郎
新築住宅販売、公共工事の施工の経験を経て、さくら事務所に参画。売る側、造る側双方の仕組みや心理を熟知したアドバイスが好評。
新築住宅販売、公共工事の施工の経験を経て、さくら事務所に参画。売る側、造る側双方の仕組みや心理を熟知したアドバイスが好評。
(構成=岡村繁雄)