処方箋「夢と目標を区別せよ」

本来、夢を持つのは悪いことではなく、むしろ夢があることで、人は前向きに生きることができるはずです。ただし、根拠のない自信家タイプの場合は、夢が破れて不能感を味わうことを恐れているため、本音のところでは夢を実現させるつもりがありません。このタイプは夢のままの状態を心地よく感じて、現実の社会に下りてこないのです。

これを直すには、曖昧な夢を現実的な目標に置き換え、さらに綿密な行動計画を立てることが必要です。たとえば「出世したい」と思っているなら、「40歳までに部長になる」というように具体的な目標へと落とし込み、それを実現するために必要な行動を計画してみることです。計画を頭の中で思い描くだけではなく、書き出すことでいままで目をそむけていた現実的な課題を否が応でも意識するようになります。

小さな夢でも同じです。「こんなアイデアが実現できればおもしろい」と考えているなら、言うだけでなく企画にまとめて行動計画を立ててください。このとき「いつか実現する」ではなく、「○月○日に稟議にあげる」というように、具体的で積極的な言葉で表現するのです。

「考えること」と「すること」の2つのリストをつくる方法も有効です。根拠のない自信家は考えることに時間を費やし、それで満足してしまう傾向があります。そのためToDoリストをつくっても、たんなる夢リストと化して結局は何も行動しないで終わるのです。そこで2つのリストを用意し、思い浮かんだことをまず「考えること」リストに記し、それを具体的な言葉に置き換えたうえで「すること」リストに転記します。

2つのリストには、毎日決まった時間に目を通してください。理想は1日3回。朝にリストをつくり、日中にチェックして、夜に見直すと、行動の漏れや遅れを減らせるはずです。

(構成=村上 敬)
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