物事には、なべて程良い塩梅がある。しかし、それを自覚し、うまく留まるというのは、至難の業だ。

現代でも、株価の大暴落などのさいに、こんな後悔の弁が飽きもせず繰り返されている。

「欲をかかず、あの時売り抜けていれば、大損しなくて済んだのに」

もう少し行けるだろう、まだ大丈夫だろうという気持が、景気後退や金融過熱のサインを見過ごさせてしまうわけだ。

また、お酒を飲んでいて、ついつい飲みすぎ、二日酔いで大いに後悔するというのも、よくあることだ。

では、どうすれば「程良い塩梅」を見つけ、そこに踏みとどまることができるのだろう。『戦国策』にはこんな話がある。

楚という国に昭陽(しょうよう)という人物がいた。軍隊を率いて魏の軍勢を破り、大将を殺して城を8つも攻略した。彼は勢いに乗って、斉の国にも兵を向けようとする。

これはたまらない、と斉の王は遊説家の陳軫(ちんしん)を差し向けて、昭陽に進軍を思いとどまらせようとした。

陳軫は、昭陽との会見にのぞむと、まず戦勝を祝ってこう述べた。

「楚では、敵を破って大将を殺すと、どれほどの地位が手に入るのですか」

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