心理学に基づく症例分析によれば先延ばしをする人のタイプは大きく6つにわかれ、かつ誰でも必ず当てはまるという。解決のための第一歩は自身のタイプを把握すること。対人心理学の専門家がタイプ別グズの裏心理と根本治療のための処方箋を解説する。
スリル偏向タイプは、スタートダッシュが遅いことが特徴です。提出期限が1週間先という書類には数日は手をつけず、ぎりぎりになって猛然と取りかかります。
このタイプは、プレッシャーがあったほうが仕事ははかどると考えています。直前までなにもしないのも自分にプレッシャーを与えるためで、わざと自分を危機的状況に追い込み、火事場の馬鹿力を発揮しようというわけです。
たしかに心理学には「締め切り効果」と呼ばれる効果があり、締め切り直前になると普段より集中力が増すことが知られています。ただ、それと仕事の完成度は別問題です。多くの場合、やっつけ仕事になってクオリティが下がったり、ときには時間の見積もりが甘く期限に間に合わないこともあります。
締め切り効果をうまく活用できているという人も安心はできません。もともと実力のあるスリル偏向タイプなら、たとえ取りかかりが遅くても、8~9割は問題なくこなせるでしょう。しかし、怖いのは残りの1~2割です。スリル偏向タイプはスケジュールにバッファをつくっておかないため、アクシデントが起きると一気に予定が狂って、締め切りに間に合わなくなってしまうのです。
不可抗力で時間が足りなくなったのだから仕方がない、という言い訳は通じません。ビジネスに不測の事態の発生はつきものです。それを踏まえて予定を組むのが当然であり、余裕のない計画を立てるのは大きな間違いです。
そもそも最初に危機的状況を好んでつくり出したのは、ほかならぬ自分自身です。そこに思いがけないアクシデントが重なったからといって、失敗の原因をアクシデントに求めても説得力がありません。周囲からは「いつか大きな失敗をすると思っていた」と冷ややかな視線を浴びせられるのが関の山です。