わかっちゃいるけど取りかかれない。その心理的メカニズムを理解すれば、突破口は必ず見える。すぐやる人になるための簡単な仕掛けを紹介する。

グズは、アメリカで盛んに研究されているテーマである。アメリカの大学で心理学を研究した経験を持つ、心理学ジャーナリストの佐々木正悟氏が言う。

「アメリカでは1970年以前から、グズ、つまり『先送りの心理』の研究が行われています。なぜなら、アメリカは個人主義の国なので、いくら仕事を先送りしても誰も責めないからです」

誰も責めないかわり、誰も面倒を見てくれない。グズのレッテルを貼られてしまえば、仕事をクビになるだけだ。だから、自分自身でグズを矯正していくしかない。アメリカがグズ研究の先進国であるのは、こうした過酷な個人主義のカルチャーがあるからなのだ。

ではなぜ、先送りしてしまうのか。その心理的要因は日米同じであり、グズは人類共通の悩みであると指摘するのは、心理カウンセラーの笹氣健治氏だ。

「グズは心理学でいうタイプA、すなわち責任感も向上心もあり、几帳面な人が多いですね。仕事の先送りは多かれ少なかれ誰でもやりますが、このタイプはそんな自分を何とかしたいと思って悩む。グズの問題とは、この悩みからいかに抜けだすかという問題ともいえます」

以下、タイプ別にグズ脱出の処方箋を探っていこう。自身が勉強嫌いの元グズで、自ら編み出した勉強法で高卒時の偏差値37から東大の修士課程を修了した平本あきお氏のアドバイスも心強い。