プロ野球選手でも、10割バッターなんて存在しない。3割打てれば上々です。思い切って『できるに越したことはない』くらいまでハードルを下げれば、楽な気持ちで仕事に取りかかれます」(笹氣)

佐々木氏の表現を借りると、「100点を取らなければならない」というのは、あくまでも「自分の内側にある基準」だ。

「完璧主義の人は、自分の内側の基準に照らして納得できるかどうかしか考えていない。では、外側の基準に照らしてみたらどうなのか。完璧な仕事など求められていないかもしれません」(佐々木)

心理カウンセラー 
笹氣健治氏

外側の基準とは、さし当たり上司の評価だろう。上司が「これでいい」と言ってくれれば、仕事としてはOKなのだ。

「TODOリストを樹形図にするのも効果的です。樹形図的に仕事を分解していって隙間時間にひとつずつこなすようにすると、まとまった時間は取れなくても、自分がすごい仕事をやりつつあるという感覚を持つことができます」(佐々木)

「メール一本でも、完璧に書こうと思うと時間がかかりますね。私は、メールを先送りしそうになったら、思い切って電話します。早く書かなきゃと焦り続けるのは、精神衛生上よくないです」(笹氣)

電話で用件が済んでしまったら、メールの文面に凝っていた自分は一体何だったのかということになる。完璧主義とは、自己満足の別名なのだ。

心理学ジャーナリスト 佐々木正悟(ささき・しょうご)
1973年、北海道生まれ。獨協大学、アヴィラ大学心理学科卒。『いつも先送りするあなたがすぐやる人になる50の方法』など、著書多数。ブログ「ライフハック心理学」を主宰している。


心理カウンセラー 笹氣健治(ささき・けんじ)
1967年、宮城県生まれ。国際基督教大学教養学部卒。人が行き詰まる様々な心理問題の解消をテーマに執筆、講演、セミナーを行う。『なぜあなたはその仕事を先送りしてしまうのか?』など著書多数。


メンタルコーチ 平本あきお(ひらもと・あきお)
1965年、兵庫県生まれ。東京大学大学院修士課程修了。北京五輪の金メダリスト、石井慧選手などのメンタルコーチ。多数の民間企業、官公庁の研修を行う。著書に『すぐやる!すぐやめる!技術』。
(川本聖哉=撮影)
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