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先送りの心理メカニズム

週明けの会議でプレゼンテーションをやらなければならない。それはわかっているのに、どうしても取りかかれない。焦るばかりで時間だけが過ぎていく……。

「プレゼンの準備が苦手な人には、完璧主義の人が多いですね。パワーポイントやスライドを完璧に仕上げなくてはと思うあまり、なかなか手をつけられない。中途半端なものをつくるぐらいなら、やらないほうがマシ。完璧主義の人はこうした心理にはまって、身動きが取れなくなってしまいがちです」(佐々木)

佐々木氏によると、完璧主義タイプは、後に述べる心配性タイプ同様、常に緊張感が高い人だという。緊張感の高い人は、高いモチベーションで行動したがる特徴を持っている。

「モチベーションが高いため、ものすごいものをつくらなければ気が済まないのですが、それには膨大な時間が必要になります。しかし、まとまった時間はなかなか確保できないので、どうしても仕事の先送りをしてしまいがちなのです」

心理学ジャーナリスト 
佐々木正悟氏

完璧を期すのは、決して悪いことではない。しかし、締め切りに間に合わなければ意味がない。さて、どうするか。

笹氣氏は完璧主義タイプに限らず、グズに陥る原因は信条体系が引き起こす「自動思考」にあると説明する(図参照)。

「たとえば、完璧主義の人は100点を取らなければいけないと思い込んでいます。これがその人の信条体系です。こうした信条体系を持った人は、何かに取りかかろうとしたときに、『うまくできるだろうか』という思考が自動的に浮かび上がってきます。この自動思考が不安や自信のなさにつながり、行動をためらってしまうのです。本当に100点である必要があるのでしょうか?