選択をするのは顧客ではなく自分自身
バリー・シュワルツ氏は「選択肢を減らすこと」でストレスや不安、忙しい日常の負担を減らし、自分の人生やキャリアの中で本当に大切なこと、必要なことだけにフォーカスできるようになるという。
選択肢が増えるほど、実は選択への満足度が下がってしまう。もしかすると、自分が選択しなかった別の選択肢のほうがよかったかもしれない……といった想像から、自分の選択に対して不安や不満を持ってしまうというのだ。さらに選択肢が多くなると、いろんな比較ができるために良い選択肢の基準が上がってしまう。こうした期待値を一定に保つためには、ある程度こちらで選択をしてから提示してやること。それが購買者に満足感をもたらす秘訣というわけだ。
さて、視点をプレゼンに戻してみると、マーケットで消費者に選んでもらうことが売り上げにつながる場面とは異なり、あるプランを通しプロジェクトを成立させることなどが目的となる。
「自分で決定することを避けるために、複数のプランを用意する。それによってポイントがボヤけてくる。それよりも自信を持って自分で決定し、プレゼンをするほうが成果につながるはずだ」とLは話す。
決してプランが多ければいいわけではない。もし2案のプランを出すとしても、自分が自信を持つ方を多少でも声高に掲げることで価値を高め、選択を促す助けになるだろう。マーケットであれ、ボスへのプレゼンであれ、相手に選択を期待するのではなく自分で決断する。そして、その選択をとことん突きつめて絞り込み、自信を持って提示すること。これにつきるのだ。
[脚注・参考資料]
「選択の科学」(シーナ・アイエンガー 2010 文藝春秋社)
TED 「選択のパラドックス」バリー・シュワルツ Filmed Jul 2005